
成都の概況
成都市は四川省の省都であり副省級市です。略称は「蓉」。温暖な気候と豊富な農作物に恵まれ、古くから「天府の国」と称されてきました。
成都市の常住人口は2,094万人(2020年、第7回人口センサス)。中国の都市の中で重慶、上海、北京に次いで4番目に人口が多く、経済規模(GDP)は1兆7,717億元(2020年)で、上海、北京、深セン、広州、重慶、蘇州に次いで第7番目の規模です。
成都市は内陸部有数の商業都市としても知られています。政策的な観点では、「西部大開発」、「一帯一路」、「長江経済ベルト」、「成都-重慶地区両都市経済圏」など中国政府の重要戦略のなかで、重慶市とともに重要な役割を担う西南地域の中核都市でもあります。
近年、国際会議やスポーツ大会、展示会など数多くの国際イベントが開催。2019年12月には成都で第8回日中韓首脳サミットが開催され、安倍晋三(前)総理が来訪しました。
<地理と気候>
成都市は四川省の中部、四川盆地の西部に位置し、東北は徳陽市、東南は資陽市、南は眉山市、西南は雅安市、西北はアバ・チベット族チャン族自治州と接しています。総面積は 1 万 4,335平方キロメートルで、東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県を合わせた面積(1万3,566平方キロメートル)とほぼ同じ大きさです。
亜熱帯温暖湿潤モンスーン気候に属し、曇天が多く雨量が多いのが特徴です。年間平均気温は16.8℃、年間降水量は 1,068.5ミリ、年間日照時間は 804.2時間となっています(2019年の数値、出所:2020成都統計年鑑)。

<行政区画>
11区(武侯区、錦江区、青羊区、金牛区、成華区、龍泉駅区、温江区、新都区、青白江区、双流区、郫都区)、5市(都江堰市、彭州市、邛崍市、祟州市、簡陽市)、4県(蒲江県、大邑県、金堂県、新津県)からなっています。
<美食と観光の街>
成都は中国四大料理の一つである四川料理の発祥地であり、「天府の国、美食の成都」として知られ、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)から「世界美食の都」として認定されています。
また、世界遺産である都江堰(2300年前の水利施設)や青城山(道教の発祥地)、パンダ生息地のほか、武侯祠(三国時代の蜀の丞相・諸葛亮やその主君劉備などを祀る)、杜甫草堂(唐代の詩人杜甫の住居)、錦里、寛窄巷子など幾多の観光名所があり、中国有数の観光都市でもあります。

<成都の日系企業>
成都市には自動車等の輸送用機械機器、IT・電子、小売・流通、商社、物流会社等を中心に326社の日系企業があります(2020年、登記ベース、成都市政府による)。日系商工会組織としては、成都日本商工クラブ(1996年9月設立)があり、2021年5月時点で法人会員134社・団体が加入しています。
<投資環境>
①主な産業
成都市は中国西南地域におけるIT産業の集積地であり、インテル、フォックスコン、レノボ、BOEなど多くのIT関連企業が進出、集積回路やノートパソコン、関連機器等の生産を行っています。
その他、ソフトウェア、機械製造(自動車含む)、医薬・健康産業、新材料、グリーンフード、MICE(Meeting、Incentive tour、Convention・Conference、Exhibition)、金融サービス、物流、文化・旅行、生活サービス、デジタル経済の発展に力を入れています。
②主な開発区
成都高新技術開発区(高新区)、成都経済技術開発区、天府新区などがあります。高新区にはITや金融、バイオ産業などが集積する高新南区(武侯区と双流区の一部)と電子製造業が集積する高新西区(郫都区の一部)があります。成都経済技術開発区は龍泉駅区内にあり、国家級経済技術開発区に指定されています。自動車産業の集積地です。天府新区は中国政府が承認した国家級新区です。天府新区は成都高新区、双流区、龍泉駅区、新津区、簡陽市の一部ほか、眉山市、資陽市の一部も含みます。
③物流の拠点
成都市は近年、内陸部における物流ハブとして注目されつつあります。2013年4月から成都市青白江区の鉄道ターミナルからポーランド・ウッチ間で欧州貨物鉄道の運行が開始。また、国家発展改革委員会が2019年8月に発表した「西部陸海新ルート」整備計画に基づき、広西チワン族自治区の北部湾を経由した陸海複合輸送の整備・運用も進められています。
2021年6月末には成都天府国際空港が開港。新空港の開港により、成都市は北京市、上海市に次ぎ、2つの国際ハブ空港を有する3番目の都市となりました。
④日本に関連するプロジェクト
成都での日中首脳会談(2019年12月)を発端として、成都市政府は日本企業等の参画を期待する分野に(1)医療・健康(介護サービスなどを含む)、(2)生態環境、(3)文化・教育、(4)観光、(5)科学技術、(6)物流、(7)金融、(8)都市建設の8分野を挙げ、これら8分野での日中協業を「中日(成都)都市建設・現代サービス業開放協力モデルプロジェクト」として、関連する日本企業の誘致や日中協業の呼びかけを行っています。
また、国家発展改革委員会が主導する「中日(成都)地域発展協力モデル区」が成都高新区に設置され、アニメやゲーム、映画等の文化クリエーティブ産業の分野で日中協力の進展が期待されています。
